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多くの店舗で導入しているビニールカーテンの効果とは?
新型コロナウイルス感染症への対策として、接客を行う多くの窓口などでビニールカーテン等の透明な膜状の物でお客さんとスタッフを遮断している光景が見られています。
この対策、どこから始まったかは定かではありませんが、実のところ感染対策として実績もなく、科学的に効果が証明されているわけではありません。
それどころか、医療現場で働く感染対策の専門看護師からは
「かなりリスクが高い状況を見かけることが多い」
との意見を貰いましたので、解説していきたいと思います。
ビニールカーテンの清掃は非常に危険を伴う
金属やプラスチックのような表面が平坦なものに新型コロナウイルスが付着した場合、最長で3日生存していたという研究報告があります。
ビニールカーテンも同様に表面が平坦ですので同程度の期間、ウイルスが生存する可能性が高いです。
ではこのビニールカーテンの清掃はどのように行われているでしょうか。
例えば当院で受付カウンターの清掃をする場合は次の手順で行うことになっています。
①長袖のシャツは必ず袖まくりする
長袖の袖口は業務中に様々な物に触れますので汚染されています
②手指の洗浄またはアルコール消毒
清掃する前に手指が汚染されていたら清掃自体がリスクです
③ビニール手袋またはゴム手袋の着用
直接汚れた物を触らない配慮ですが、素手でのアルコールを使った清拭は肌荒れの原因にもなります
④アルコールを含ませた使い捨ての不織布クロスで清拭する
必ず先に布にアルコールを含ませてから拭きます
拭きたい箇所へのスプレー式の容器での噴霧は絶対にやってはいけません(後述)
⑤吹き終わったらクロスは破棄する(再利用しない)
洗浄して再利用する場合は乾燥までしっかりと行う必要があります
⑥手袋を汚れた外側が内側に折り込まれるように脱いで破棄
破棄するものもできるだけリスクを抑えるよう配慮が必要です
⑦手指の洗浄またはアルコール消毒
手袋をしていたからといってその手は清潔とは限りません。特にビニール手袋は物によって小さな穴が空いている場合もあります。
この手順を原則1人で行います。
1人で行う理由は、多人数で行うと手順が正しいかどうかの把握が難しいことや、不足している不織布クロスや手袋などの物品の節約です。
医療機関では拭き掃除ひとつだけでもこれだけ気を使って行っています。
それでも、院内感染が起こったという報道を目にしてしまうのです。
果たしてコンビニやスーパーの窓口で正しい手順で清掃ができるでしょうか?
手袋をして清掃していたとしても急にレジが混雑してくれば、つい手袋を脱ぎ捨ててそのまま手も洗わずにレジに入ってしまいませんか?
ビニールカーテンへのスプレー容器によるアルコール噴霧はかなり高リスク
よく見かけるスプレータイプの容器でのアルコール噴霧は大変危険です。
一見、広範囲に吹き付けることが出来て効果的と思われてしまいますが、ウイルスは少量のアルコールに触れただけですぐに死滅するわけではありません。
それどころか勢いよくスプレーを吹きかけることで、ウイルスや菌を飛散させ、いわゆるエアロゾル化を助長してしまいます。
エアロゾル化とは?
液体が細かい霧状に変化すること
鼻や口から非常に吸い込みやすい状態
感染症対策として、テーブル等を清掃する場合は必ず拭き掃除で行いましょう。
その他の注意すべき点
お客さんが着けている手袋は汚れていると思え
感染対策として自己防衛で手袋を着けるかたが増えたと思います。
しかし布や革製の手袋を外出の度に洗濯・乾燥させる方はなかなかいないと思います。
手袋を着けているご自身は安心かもしれません。
しかし汚れた手袋で触れたものはすべて汚染されてしまいます。
当院の場合、手袋をしている方には感染のリスクを説明をしてはずして頂き、すぐに手洗いをお願いする場合もあります。
目を素手で触らない
仕事中に目がかゆくなると、つい素手で目をこすってしまいがちですが、手指を洗浄するのは難しくてもせめてティッシュペーパーやハンカチを使うなどしましょう。
インフルエンザウイルスもそうですが、ウイルスは目や鼻から侵入して感染することがわかっています。
ビニールカーテンの中は密閉空間になりがち
もともと想定されていないビニールカーテンで窓口を区切ることで、換気が悪くなる箇所が発生します。
ビニールカーテンを吊り下げる場合でも上部は開けておくなど空気の流れを作る配慮が必要です。
多くのお店で取り入れられているから有効、というわけではない
前述の通り、この対策法は実績も科学的根拠もありません。
医療機関によっては、感染リスクを考えてビニールカーテンの導入を見送ったという話も聞きます。
ビニールカーテンを取り付けていない店舗や窓口に対してクレームを入れるなんてのはもってのほかです。
ビニールカーテンよりも人との距離を取ること、手洗いやうがいを徹底することのほうが感染対策としてはるかに重要ですので、皆さんの冷静な対応をお願いしたいところです。
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