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【令和2年度診療報酬改定】看護補助の配置への点数が手厚くなったことで何が起こるのか

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[姉]みか
令和2年度の診療報酬改定で看護補助者の配置に大きく加点がされました。
病棟に配置されている看護スタッフの負担軽減が主な理由となります。
これによってどのようなことが起こり得るでしょうか。

 

急性期看護補助体制加算の点数はどのように遷移してきたか

 

急性期看護補助体制加算の点数の推移

平成24年度 平成26年度 平成28年度 平成30年度 令和2年度
25対1(看護補助者5割以上) 160点 160点 160点 210点 240点
25対1(看護補助者5割未満) 140点 140点 140点 190点 220点
50対1 120点 120点 120点 170点 200点
75対1 80点 80点 80点 130点 160点

ポイント

「看護補助者5割以上」とは
決められた看護基準以上の看護師が配置されている場合、基準以上の人数を看護補助としてカウントして看護補助体制加算を算定することが可能です。
看護補助者としてカウントされた人数のうち、看護師ではなく看護補助者が5割以上の場合はより高い点数を算定することができます。
看護補助者よりも看護師のほうが人件費は高くかかるので疑問に思うかもしれませんが、看護師の負担軽減のために看護補助者を十分雇用しなさいというメッセージであると捉えることができます。

夜間急性期看護補助体制加算の点数の推移

平成24年度 平成26年度 平成28年度 平成30年度 令和2年度
25対1 35点 40点 90点 120点
50対1 10点 25点 35点 85点 115点
100対1 5点 15点 20点 70点 100点
夜間看護体制加算 10点 60点 60点

近年では診療報酬改定の度に必ず加算が新設されたり、いずれかの点数が引き上げられてきました。

これは看護師の負担軽減が強く求められてきたことと密接に関係しています。

医療関係者でなければ「看護師の仕事は患者のケアだけしてれば良い」と思ってる人は多いと思います。

実は急性期病院の看護師の仕事のうち、患者さんに接する仕事は大体5割くらいです。(もちろんスタッフの人数や病院によって差はあります)

残りの半分は何をしているかというと、
(これももちろん病院によって違います)

・看護師間の申し送り(業務の引き継ぎ)
・カルテへの記録
・薬剤業務
・医師への報告や連絡
・病室内の環境整備、ベッドメイク
・物品の管理

など、中には看護師でなくても良い業務がたくさんあります。

看護師が行わなくても良い業務は看護補助者に委譲できるので、そういったスタッフが増えれば看護師が患者へケアを行う時間を増やすことができます。

 

急性期看護補助加算の算定で収益への影響はどの程度あるのか

40床の病棟で考えると1年間の延べの稼働日数は

40床 × 365日 = 14600日

となります。

急性期看護補助加算の算定は入院日から14日間ですので、例えば14600日のうち8割の日数で算定できたとすると

14600 × 0.8 = 11680日

急性期看護補助体制加算と夜間急性期看護補助体制加算の高い点数を全て算定できると

240点 + 120点 + 60点 = 420点

1点10円なので1年当たりの収入にすると

11680日 × 420点 × 10円 = 49,056,000‬円

40床1病棟あたり約5,000万円近い増収となるので、看護補助者を規定数配置しても十分黒字になる計算です。

平成24年度の点数で同じ計算をすると2000万円弱にしかなりませんので、国がいかに診療報酬の面で力を入れているかがわかります。

(年間2000万円だと看護補助者を配置しただけ赤字になってしまうのです)

この診療報酬の改定にしっかりと乗って、看護補助者を十分配置できている病院は当然看護師が働きやすい環境に近づくことになりますので、働く看護師の満足度の向上にも繋がっているはずです。

 

夜間働ける看護補助者は好待遇で労働できるようになる!?

収益面でも看護師の負担軽減という面でもメリットが見出せるようになりましたので、病院とすれば看護補助者をしっかりと配置したいと考えるでしょう。

特に夜間に仕事のできる看護補助者は給与面でも優遇する病院が増えるでしょう。

将来的に看護師の奪い合いならぬ、看護補助者の奪い合いというのも起こり得るのかもしれません。

 

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