病院の窓口で患者さんから尋ねられてもおいそれと回答できません。
もしあなたや家族が入院となってしまった時に備えて、
簡単に制度を理解しておくことをおすすめします。
入院費の計算方法を知ろう ~DPC制度の基本~
DPC制度はいつから始まった?
DPC制度は2003年より特定機能病院にて導入され、2006年からは一般の病院でも本格的に開始されました。
その目的は「医療の質の向上」、「入院日数の短縮」などが挙げられます。
それまでの計算方法と何が違うのか
DPC制度が始まる前の入院費の計算は出来高方式で非常にシンプルでした。
出来高方式での入院費の計算は、基本の入院料、使った飲み薬や注射薬剤の料金、レントゲンやCT、MRI、看護師や医師の手技料など行われた医療行為の1つ1つの金額が合計されたものが請求金額となります。
患者さんにとっても自分に使われたお薬、検査等の金額がそのまま請求されるのでこれ以上なくわかりやすいですよね。
DPCはDiagnosis(診断) Procedure(手順、手技) Combination(組み合わせ)の略で、病名と主な治療行為を組み合わせて1日当たりの医療費を算出する方法となります。
正確にはDPCは分類方法で、支払い方法はPDPS Per-Diem(1日ごと) Payment(支払い) Systemなんですが、現場ではDPCという言葉で通されていることが多いです。
DPC方式による入院料は、治療や検査の行為が含まれた入院料なので「包括入院料」と呼ばれます。
ただし、手術や一部の入院料加算、高額な処置や検査は包括入院料とは別に算定されます。
包括入院料は次のような要素により分類されて、決定されます。
・病名
・手術
・処置・検査行為
・重症度
2018年時点で診断群の分類方法は4955通りあります。
DPCでの包括入院料は3段階に分けられる
入院の日数が長くなればなるほど1日当たりの入院料は安くなる
上記の診断群分類によって、包括入院料1、包括入院料2、包括入院料3のそれぞれの1日あたりの金額と、それぞれの算定日数が決定されます。
基本的に包括入院料1が最も高く、3が最も安くなります(例外あり)。
入院期間2が終わるタイミングで退院すると、その疾患の全国の平均在院日数で退院できたことになります。
入院期間2までの包括入院料の合計は全国の平均在院日数までに投入された医療資源と等しくなります。
また、入院期間3に入ってしまうと、1日当たりの入院料は非常に低くなってしまいます。
病院経営の視点で見ると、入院期間2を意識することが重要
空いたベッドに新たに入院させることで高い入院料を維持できることになります。
これはほとんどの急性期の病院で意識されているポイントです。
制度上は効率良く医療行為を行っているとみなされることにはなるね。
できるだけ点滴注射とか検査とかやらないほうが病院は儲かるってことだよな?
なので多くの病院が疾患ごとにできるだけ無駄のない
クリニカルパスを作って診療を行ってるんだ。
ところで、診断群分類ごとの包括入院料と日数は診療報酬改定の都度、直近のデータで見直されます。
病院が効率の良い診療を行って平均在院日数が短くなり、医療資源の投入量が減ると・・・
包括入院料も下がってくる、ということかな?
厳しい事を言うと診療内容を見直しして効率の良い治療を行えない病院は淘汰されていく事になるね
医者は自分の好きなように治療したがるから・・・(愚痴)
でも最近はだいぶ理解して協力してくれる先生も増えたけどね!
みか姉は看護師なのになんでこんな事詳しいのよ?
DPC制度を理解しておく必要があるからだね・・・
というわけで、次回はクリニカルパスについて解説していきます
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