新型コロナウィルスの患者はどこに入院している!?
2020年2月。ダイアモンド・プリンセス号から下船した新型コロナウィルスの陽性患者はその数634人にも上り、重症な患者は医療機関に入院となりました。
この入院患者はどこの地域のどんな病院に入院となったのでしょうか。
クルーズ船から医療機関へ入院となった患者は100名を超える人数です。
対して第二種感染症指定医療機関はこれだけあるものの、どこの医療機関もこのような事態は初めてですので、いきなり規定の病床数の上限まで患者を受け入れることが難しいことは想像に容易い事でしょう。
おそらく入院要請のあったほとんどの医療機関で1名ずつの受け入れとなったのではないでしょうか。
国の見解では感染症病床だけで不足であれば一般病床にも入院を、としていましたが現場からすればそれは無理な話です。
となると横浜港から発生した100名超の入院患者が関東全域はもちろん、関東以外の地域にも入院の要請がされたことは十分予測できます。
私の勤務する病院も第二種感染症指定医療機関であるため、入院の要請があり1名受け入れることとなりました。
すぐさま、新型コロナウィルスの患者を受け入れた事は外部に漏らさないように、との通達が出ましたが、その患者が到着した際には感染防護服を着た人達に囲まれた患者が病院に入っていく様子が当然目撃されるわけです。
あっという間に新型コロナの患者が入院したことは噂になりました。
以降、マスコミからも問い合わせされまくるのではないかと戦々恐々としていましたが、実際起こったのはもっと厄介な地域の住民からの問い合わせ攻撃でした。
電話を取れば名前も名乗らず
??「おたくの病院にコロナの患者が入院してるんだって!?」
病院「いや~患者さん個人の情報なんでいるともいないともお答えできないんです」
??「それって結局いるってことだろ!?」
病院「いや、だからお答えできない、ということしか申し上げられないんです」
??「そうやって隠すってことはいるんだな!」
毎日のようにこんな不毛なやり取りが行われておりました(笑)
病院における個人情報とはどの範囲でどのような取り扱いがされているのか、意外と知られていないと思います。
お見舞いの方に入院患者の病室も教えられない!?
病院の個人情報の取り扱いは
「個人情報」ってよく言うけど・・・なんでしょう?
「個人情報」とは氏名や住所、顔写真などその情報だけで個人を特定できる可能性がある情報の事を言います。
その中でも取り扱いに特に配慮が必要な情報を「要配慮個人情報」と言います。
要配慮個人情報には次のようなものが含まれます。
・人種
・信条
・社会的身分
・病歴
・犯罪の経歴
・犯罪による被害情報
医療機関で関係しそうなのはやはり「病歴」です。
この「病歴」が「要配慮個人情報に含まれる」というのが非常に重要なポイントです。
「個人情報」と「要配慮個人情報」の違いは、これらの情報を第三者提供をする際の本人の同意方式です。
「個人情報」にはオプトアウト方式が認められていますが、「要配慮個人情報」には認められておらずオプトイン方式で同意を得ることが必要です。
個人情報保護法におけるオプトアウト方式とは
個人情報の第三者提供について、その目的や方法を事前に通知しておき、同意できない場合に申し出がなければ同意しているとみなす方法。
通知の方法は本人に直接行う他に掲示による周知も認められる。
個人情報保護法におけるオプトイン方式とは
オプトアウト方式とは逆に、個人情報の第三者提供について、同意書を取るなどの方法で前もって本人の同意を得ておくことが必要な方法。
気になる方は今度探してみて下さい
お見舞いの方に病室を教えるのは個人情報保護法に反するのか?
これは個人情報保護法に違反しないのでしょうか。
窓口で入院患者の病室を案内している病院では、オプトアウト方式でその旨を掲示しているはずです。
あるいは入院時にオプトイン方式で同意を得ているかもしれません。
このいずれかによる同意がなければ法令に違反していることになります。
入院している病室の情報は病歴には含まれないというのが一般的な考え方です。
厚生労働省発行のガイドライン上でも問題ないとしています。
患者さん達には融通がきかずご不便な場合もありますがご理解頂ければ幸いです。