それらの病院の経営状況がどうなのか、気にしたことはありますか?
病院の費用てどんなものがかかるの?
一般的に
・人件費
・医薬品費
・材料費(手術や処置で使うガーゼ、カテーテル等)
・委託費
・設備費
・減価償却費
といったものが挙げられます。
一般企業とあまり変わりませんね。
逆に収入については、保険診療(=患者さんの自己負担分と保険者の負担分)による収入が大半を占めています。
病院の人件費はどのくらいかかっているのか
ただし、病院の機能によって若干割合が変わってくるようです。
大学病院など高度な診療機能を持つ病院ほど、人件費以外の医薬品費や材料費が増加する傾向があり、医業収益に対して人件費の割合は4割~5割弱と言われます。
次いで標準的な病院で5割強、療養型の病院だと6割程度のようです。
近年、就職に関しては売り手市場になってきたと言われておりますが、医師や看護師はかなり以前から売り手市場です。
人件費の削減はどこの病院でも取り組んでいると思いますが、難しい課題です・・・
病院は本当に儲かっているのか
ひとつ記事を紹介します。
しかし、日病・全日病・医法協が合同で実施した病院経営に関する実態調査(1400超の病院が調査対象)の速報値(近く公表)では、▼全体の損益率はマイナス3.6%程度▼経常赤字病院が53%程度、医業赤字病院が58%程度▼2期連続で赤字の病院が全体の4分の1を占める―など、医療経済実態調査よりも厳しい数字が出ていると言います。
引用元 出典 https://gemmed.ghc-j.com/?p=31095
どうしてこのような事態になっているのでしょうか。
その要因のひとつに消費税の増税があります。
医療機関では医療費に対して患者さんに消費税を請求することはできません。(ただし診断書等の保険診療に含まれないものには消費税がかかります。)
しかし当然ですが病院が業者から購入するものには消費税がかかります。
医療機関において消費税が「損税」と言われる所以です。
一応、診療報酬改定に消費税への対応としてのプラス要素を盛り込んではくれますが、消費税が8%に上がった際、多くの医療機関で消費税増税による費用増の分を賄うことはできませんでした。
それに加えてこんな事もありました
2014年度に行われた消費増税(5%→8%)に対応するための診療報酬プラス改定の補填状況調査には誤りがあり、改めて調査分析したところ、クリニックでは100%を超えているが、病院では85.0%と「損税」になっていた。病院の種類別に見ると、精神科病院では129.0%であるのに対し、一般病院では85.4%、特定機能病院ではわずか61.7%にとどまっており、急性期病院では診療報酬による補填が十分なされておらず、過重な消費税負担が発生している―。
引用元 出典 https://gemmed.ghc-j.com/?p=21638
消費税増税の補填を行うための試算が間違っていて、ほとんどの病院で消費税増税による費用増を自分たちで負担していたというのです。
マスコミもそれほど取り上げてくれなかったみたいですね・・・
病院の経営って今後どうなんですかね?
不安な要素ばかり、というのが正直なところです。
医療業界がこの先好景気になることは・・・かなり厳しいのではないでしょうか。
人口減少が世の中の話題に上がることが多いですが、最も深刻な状況なのが病院医療業界でしょう。
若い人が減り高齢者が増えている中、当然起こるのが若いスタッフの減少と高齢患者の増加です。
高齢患者が増加すれば医療費が増えていくのは当然なのですが、国は医療費の大幅な削減を公言しています。
この悪循環をどう断ち切るのかは国の方策にかかっています。そしてこの方策は診療報酬改定という形で医療機関の収入に影響を及ぼしていきます。
病院ができることは診療報酬改定の方向性を十分に理解し、国の指針から大きく外れることなく経営を舵取りしていくことなのです。