2026年度(令和8年度)の診療報酬改定でも叫ばれている、医師や看護師の働き方改革。 その救世主として多くの病院で導入されているのが「医師事務作業補助者」、通称医療クラーク(医師事務)さんです。
ただ、多くの病棟でこんな声を聞きませんか? 「クラークさんって医師の書類仕事を手伝う人でしょ? 私たち病棟ナースの激務には関係ないよね……」
……ノンノン、それは非常にもったいない!
確かに名前に「医師」とついていますが、彼女たち・彼らの力を上手に借りる(タスクシフトする)ことで、病棟ナースの「書類地獄」は劇的に改善します。今回は、パス担当ナースの視点から、クラークさんを巻き込んで病棟を大改革する具体策をぶっちゃけます!
ナースを悩ませる「名もなき事務作業」の正体
私たち病棟看護師の一日は、患者さんのケアだけでなく、とにかく「PCに向かって文字を打ち込む時間」に侵食されています。
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退院サマリーの基本情報の入力
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転院・施設入所のための紹介状(診療情報提供書)の下書き
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パスの定期検査や処置のオーダー入力の確認・代行
「これ、私が今やらなきゃいけないこと?」と思いながら、夜勤帯や検温の合間に必死にキーボードを叩く日々。これこそが、ナースの元気を吸い取る「名もなき事務作業」の正体です。
クラークさんへ切り出すべき「3つの鉄板タスク」
「でも、クラークさんに看護師の仕事を頼んでいいの?」と不安になりますよね。もちろん、医療行為や看護判断が必要なものはダメですが、「事前の準備」や「お決まりの入力」なら大歓迎で引き受けてくれます。
クリニカルパスやシステムをうまく連動させて、以下の3つを切り出してみましょう。
1. 退院・転院調整の「下書き」の自動化
転院や施設入所時に必要な書類。患者さんの生年月日、既往歴、現在の内服薬……これらを電子カルテからコピペして書類の枠を埋める作業は、クラークさんの大得意分野です。 ナースは、クラークさんが埋めてくれた下書きに「現在のADL状況」や「看護上の留意点」をサクッと書き加えるだけでOKになります。
2. クリニカルパスに基づく「お決まりオーダー」の代理入力
「大腸カメラの前日はこの下剤」「手術後1日目は足のレントゲン」など、パスで最初から決まっている検査や処置のオーダー入力。 これらを医師が忘れていたり、ナースが催促して代わりに打ったりしていませんか? 「パスの進捗に沿って、お決まりのスケジュールをクラークさんがシステムに入力(または下書き保存)し、医師が最終承認する」という動線に変えるだけで、病棟のバタバタは激減します。
3. 各種同意書や説明書の「セットアップ」
入院時や検査前に必要な、大量の同意書の準備。患者さんの氏名スタンプを押したり、クリップで留めてファイルに挟んだりする作業です。「優しさ」でナースがやりがちですが、これも完全に切り出せるタスクです。
成功の裏技:病院経営陣を動かす「施設基準」のカード
「クラークさんの人数が足りないから、病棟まで手が回らないって言われた」 そんなときは、診療情報管理士的な視点で「経営的なメリット(施設基準)」をチラつかせて上層部を動かしましょう。
医療事務作業補助体制加算などは、配置人数や勤務時間によって病院に入る点数(お金)が大きく変わります。 「病棟ナースの残業代をダラダラ払うくらいなら、クラークさんを適切に増員して病棟に配置した方が、結果として加算も取れて残業代も浮いて、病院全体の利益になりますよ?」と、データ(残業時間と点数の比較)を持って看護部長や事務長に直談判するのがパス担当(私)の裏の仕事です(笑)。
まとめ:クラークさんは「押し付け先」ではなく「最強の戦友」
タスクシフトで一番やってはいけないのは、リスペクトのない「丸投げ」です。
クラークさんは、複雑な医療用語や電子カルテの操作を日々勉強してくれている、立派な専門職。 彼女たちが「ナースの事務作業を減らすことで、間接的に患者さんの安全を守っているんだ!」と誇りを持てるように、日頃から「いつも書類の準備ありがとう!本当に助かってる!」と言葉で伝えるコミュニケーションが、実は何よりも大切だったりします。
書類地獄から抜け出して、もっと患者さんのベッドサイドに行きたいナースの皆さん。 まずは「この書類のコピペ、クラークさんにお願いできないかな?」と、病棟の師長やクラークリーダーに相談を clinical path(最短ルート)で進めてみませんか?